安田侃の「こころを彫る授業」

 アルテピアッツア・STUDIO Arte で5月3・4・5日と3日間参加





*


1日目



5月3日初日、まず先生の話を聞く。
「楽しく自由に心の赴くままに、この自然の中でどこで彫ってもいいよ。」
と言われ、俄然イメージが膨らみ出す。
受講生、厳正に抽選された35名。



 
授業料の1万円は、大理石代。私が選んだ石がこれ。
「川の流れの中で削られ磨かれたこんな自然な大理石は、もうイタリアにはありません。」
と言われた言葉が、「そうか、このことだったのか」と後になって実感することになる。
そして、メイドイン・イタリアの作業台にノミに金槌。



 
石を前にして、パッと思い立って2つに割ってみようと、
真ん中にノミを当て、思い切りたたくこと2回、
見事に2つに割れました。
一つは、手つかずに残し原石のまま、
もう一つをなぜかこれまた思い立って、
溝を切ってみようと削っていきました。



 
3つの溝に削っていくと、なぜかしら、4本指のグローブのように見えてきたり、
誰かは、シェル石油だと言ってくれたり、
いろいろイメージを喚起させてくれるような形になってきました。
そのうち、溝の一つから見事にパカッと割れてしまったり・・・




そして、昼のお弁当はかわいいおにぎりと手打ちソバ、これ¥500、
おいしかったです。



2日目
お弁当は、鳥飯


 
2日目の状態でほぼ形の方向性は、固まりました。




廻ってきた先生としばし眺める。「うぅ〜ん」




二日目は寒かったので、上着とマフラー姿だったのですが、
どれどれ、といって上着を脱ぎ出す。




どんなことにも、真剣でしかもそれがとてもフレンドリー。



 
「君の作品は、中心に向かって彫り込んでいっているのは、なかなかいい。
ただ、その彫り込みが浅い。
ねっ、ここなんかまだ、ひっかいてる程度にしか見えないよ。
もっともっと深みをもって彫り込んでいった方がいいよ。」
というような調子です。



 

なるほど、なるほど・・・


 

このあたりが、もうちょっとだな・・・




でも、まあこんなもんでしょう。


3日目


 
僕は、屋外の作業スペースを選択し、なおかつ、ノミで削るときは、
足で石を固定するとやりやすかったので、例の白い大理石の池の中庭を望む丘の上で、
ノミをふるう作業をしました。
侃さんが好きなところで作業してかまわないんだから、と言っていたので・・・
その屋外の隣で作業をしていた札幌から来た二人組の女性。
ほぼ午前と午後の1日2回
先生が回ってきて、示唆に富んだご教授をしてくれるのです。
それがまた、非常におもしろくて楽しいのです、特に他人のところでの話を聞くのは。




安田侃の行くところ、カメラあり。



 
あるところでは、道具の由来の話をひとくさりしてから、実演です。




そうすると、また受講生たちがカメラを手に寄ってくるのです。



 
一方、僕の作品は先生にもっと彫り込めと言われて、
3日目は、もうみんな磨きの仕上げの段階に入っているのに、
まだノミで削っていました。
そして、3つに分かれて、それぞれが単体でも存在感のあるように・・・
ただ、石を削っていけばいくほど、自然な曲面にすることの大変さが、ここにきてわかる。
だって、ここが出っ張ってるからといって、削ると今度はこっちがでっぱり、
全くきりがなくなるからです。
その話を先生にすると、普通はそれがわかるのに、3年かかるんだよ、って。
自然でなめらかできれいな曲面に仕上げることが出来るまでに、30年はかかります。
「君は、それがいまわかったんだから、あと27年だね
。」って。





最後の授業を終えて、STUDIO ARTE から出てきたところを、
受講生たちが取り囲んで、サインを求める。
それに、本当に快く応えていく。(確か蘭越から来た人、キャンプして2泊)




 
札幌から来た二人組。





最終日、先生を受講生たちが取り囲んで記念撮影。
前列2列目中央が、安田侃。私は、その斜め左後ろ。
(撮影は、安田琢氏)



 
これは、東京から来た受講生の作。
まだ削っただけの未完。
半分は、落としたという力作。(安田侃は、1/3まで落とすという)
話を聞くと、最近話題のの再開発「東京ミッドタウン」マークのデザインで、
グランプリを獲得したんだという。
賞金は、¥500万、原野敦史氏。
東京で磨くという。
JR美唄駅まで送ってあげました。







合体状態。
分離状態、撮影するの忘れてました。
引き続き、『STUDIO ARTE』に磨きに通う予定です。
¥100で1時間、
疲れたらカフェでコーヒーいただき、しばし休息、いいですねえ〜。
そのとき、ちゃんと撮影する予定です。


安田侃の名の下に、35人も抽選されて来ると、
やはりちょっと変わり種、と言う人間(作品)が二人や三人くらいいるものです。



もう一人、削り落とし派で、富良野から来た農業を営む人がいました。
親子4人で来ていて、お父さんが受講生の、いかにも芸術家風なんだけど農業人。
昼のお弁当を1家4人で芝生の上で食べてました。
下の子が男の子で、お父さんが彫刻している間、
元気よく芝生の上を裸足で走り回っていました。


ざっと、私の見たところ作品タイプで分けると、
■中へ向かって削り彫り込む派(私1名)
原型とどめず削り落とし派(東京・富良野2名)
きれいな形の原型をとどめて、磨き込む派(他ほとんど)


*

安田侃と交わり
我を忘れ、時を忘れ、とっても、楽しくて有意義な3日間でした。
(もし正規に受ける学校の授業だとしたら、かなり高額なものになるのではないでしょうか。

*




bunka top

Home