Carpenter 大工のチカラ

大工の仕事

日本の木造建築はそのルーツをおそらく縄文時代にまで遡り飛鳥、奈良時代を経て長い歴史を重ねながらその技と道具を洗練させてきました。それゆえ「構造即意匠」と言われる日本の木造建築の美しさと技術は間違いなく世界の最高峰に位置づけされるものと思います。

しかしながら、現代の家づくりにその素晴らしい伝統の美と技がどれほど生かされているでしょうか?現代の大工職人にとって、伝統木搆法と伝統的大工技術を学び身につけることはとても大切なことで、今に至ってもすべての木造建築の基本であり根源でもあると思います。

しかし、それは一朝一夕に身に付くものではなく、根気強い修行と高い志が必要です。それによって身に付いた技能と経験は現代の家づくりにもおおいに役立つものでもあります。何故なら、在来軸組工法はもちろん金物接合工法であれ、2×4工法、集成材プレカット工法であれ、伝統木構法を学んだ腕の良い大工であれば何にでも対応できる適応力を持っているからです。

これは当社ばかりでなく木造建築を担う工務店にとって大きな武器になるはずです。当社はこのような大工職人の育成と「大工のチカラ」を発揮できる建築物をつくり続けて行きたいと考えています。ここでは、そのささやかな活動の試みとエピソードをご紹介させていただきたいと思います。



森の見える家づくり×物語のある家

大工の仕事にまつわるエピソード

現代は山で伐られた木が木材として加工・運搬され、家をつくる流れが確立されています。例えば北海道では「山子」と呼ばれる職人が原木を切り出し、それが製材所に運び込まれ、機械を使ってJAS規格にあう大きさに製材。それを使って大工が家を建てるのです。昔は大工や建主自らが山に出向き、木を選ぶことができました。

伐採された木は一本一本マサカリで削って(はつって)柱や梁に仕立てられ、大工が手刻みで仕口や継手をつくり、家を建てていました。当社が取り組む民家再生の現場で実際にそのような木材を目にして、2代、3代と受け継がれ語り継がれてきた物語を聞く中で、持ち主の家に対する愛着、先祖や家づくりに関わった職人たちへの感謝の気持ちが深いことも実感しました。

今の時代にそれができないか。地元の山で育った木を実際に自分の目で確かめて家づくりをすること、それが空知総合振興局森林室で取り組む「森の見える家づくり」だと思います。家を建てるために必要なお金がきちんと地域に還元され、地元の職人にその技術を生かす場を与える。そして長い時間をかけて受け継がれてきた伝統技術がきちんと次世代へも受け継がれていく。家づくりとは一軒の家だけのことではなく、その地域の未来へもつながっているのです。私たちはいろいろな課題を抱えながらも、木を選ぶ目と技術を持った大工を育ててきた自負があります。

今後は川上(林業)から川下(家づくり)という木の流れと同時に、川下の大工職人が山に入り林業に携わるという「建林協働(けんりんきょうどう)」の活動も地元の堀川林業(三笠市)さんと試行していきたいと考えています。大工たちが冬の山に入り林業に学びながら技術を磨く原点回帰した家づくりを目指したいと考えています。

森を見てから家を建てる「森の見える家づくり」

空知総合振興局森林室では石狩・空知管内で建てる住まいを対象に、空知管内の道有林で住まいの建材となるカラマツを立木の状態から確認して選び、それが造材、製材されて建築が行われるという過程を見ながら家づくりをすすめられるプロジェクト「森の見える家づくり」をすすめています。

  • 岩見沢市万字(森の見学)
    岩見沢市万字(森の見学)
  • 三笠市(製材見学)
    三笠市(製材見学)
  • 芦別市(乾燥)
    芦別市(乾燥)
  • 美唄市(施工)
    美唄市(施工)